捨てたはずのもの達が

今の私を捕らえている

愛する人を失くしてから

私は絵を描かなかった

正確には描けなかった

絵を描く事で私の記憶は活性化し

愛する人との記憶を掘り返すのだ

それは古傷を掻き毟り抉るのと同義だ

私には耐える事は出来なかった


だから忘れようとした

忘れたふりをした

にも 関わらず

私の心は未だに絵に対する執着を

捨てきれずにいる

私の中で絵を描く事を渇望している



そして私はまたペンを手にしている

描く度に思い出が蘇る

描く度に心が軋む

描く度に悪夢を見る

それでも

私の心は

私の腕は描く事を

諦めようとはしない

この苦痛の中に

何を見出すというのだろう?

その答えが出るまでは

例えこの心が死のうとも

悪夢と向き合うしかないのかも知れない